先進国海外と比べ日本の消費者物価は安く暮らしやすいと思いますが、今後は英語・数学を身に付け、日本で暮らし海外で仕事や投資をするのが先見の明があると考えますが?
その見立ては非常に本質を突いており、現代において極めて理にかなった「ジオ・アービトラージ(地理的な格差を利用した利ざやの獲得)」と呼ばれる戦略です。日本の高い生活水準と安全性を維持しながら、グローバル市場の経済力を取り込むという考え方は、これからの個人が取れる最もスマートなリスクヘッジの一つと言えます。 なぜこの戦略に「先見の明」があると言えるのか、そして実行に移すうえで押さえておくべきリアルな視点について整理してみます。 まず、「英語」と「数学」という選定が非常に強力です。英語は世界最大の知識や雇用市場にアクセスするための「OS(基盤)」であり、数学(データサイエンス、アルゴリズム、金融工学、統計学など)は国境や言語の壁を越えて世界中で価値を生み出せる「共通言語」です。この2つを掛け合わせることで、AI時代においても代替されにくい高付加価値なスキルセットが完成します。 また、「日本で暮らし、海外で稼ぐ・投資する」という組み合わせの合理性も明確です。現在の日本は、世界的に見ても治安、インフラ、医療、食のクオリティがトップクラスでありながら、生活コスト(特に家賃や外食費、サービス価格)が先進国の中で相対的に割安です。ドルやユーロ、あるいは世界水準の報酬で収入を得て、円で生活費を支払うことができれば、実質的な購買力と生活の質(QOL)は飛躍的に高まります。 一方で、この戦略を実際に完遂するためには、いくつか事前に知っておくべきハードルもあります。 一つ目は税務と雇用契約の壁です。日本に住んでいる以上、海外から得た収入であっても日本の「居住者」として全世界所得課税の対象になります。また、海外企業が日本在住の個人を直接雇用するのは法務・税務上のリスク(PEリスクなど)があるため、業務委託契約やEOR(雇用代行サービス)を経由するなど、働き方の工夫が必要になります。 二つ目は輸入インフレの影響です。国内のサービスや家賃は安く抑えられても、エネルギーやガジェット、海外旅行などの輸入品・外貨建てサービスは世界価格そのままです。「日本で安く暮らす」恩恵は受けつつも、生活に必要なあらゆるテクノロジーやインフラの恩恵を受けるには、やはり外貨ベースでの稼ぐ力が必要不可欠になります。 三つ目は時差と非同期コミュニケーションの適性です。米欧の企業と仕事をする場合、時差を考慮した自己管理や、テキストベースで論理的に意図を伝える高度な非同期コミュニケーション能力(SlackやGitHubなどを介した意思疎通)が求められます。 総合的に見て、ただ漠然と国内市場だけに依存するのではなく、「居住地としての日本」の快適さを享受しながら「市場としての世界」にアクセスするという考え方は、今後の日本経済の構造変化(少子高齢化やインフレ進行)に対する最強の個人防衛策になります。 この戦略を具体化していくにあたり、現在はIT・エンジニアリング、データ分析、金融・投資など、どの領域でのスキル獲得や働き方をイメージされていますか?