連立方程式文章題の立式パターン
連立方程式の文章題は、一見バリエーションが無数にあるように見えますが、「式の組み立て方(立式パターン)」は実は大きく分けて5つしかありません。
問題文を読んだときに「どのパターンか」を見抜けるようになると、驚くほどスムーズに式が作れるようになります。塾での指導やご自身の整理に使いやすいよう、それぞれのパターンの本質と、立式のコツをまとめました。
1. 「個数と代金」パターン(基本の基)
最もシンプルで、すべてのパターンの土台となる形です。「数量の合計」と「金額(重さなど)の合計」で2つの式を作ります。
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式の構造:
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x+y=個数の合計
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(単価×x)+(単価×y)=代金の合計
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💡 コツ: 「合わせて〇個」「代金の合計は〇円」という言葉を探すだけで式が完成します。
2. 「速さ・時間・道のり」パターン
「はじき(みはじ)」の法則を使うパターンです。問題文によって「時間の合計」で式を作るか、「道のりの合計」で式を作るかが変わりますが、圧倒的に「時間の合計」で式を作るパターンが狙われます。
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式の構造(時間をベースにする場合):
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x+y=全体の道のり
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速さAx+速さBy=かかった時間の合計
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💡 コツ: 分速と時速の単位のズレ(例:1時間20分を 34 時間、または80分にする)のひっかけに注意が必要です。
3. 「割合(パーセント・割)」パターン
生徒が最も苦手としやすく、テストでの差がつくパターンです。「昨年の人数」や「元の値段」を x,y と置くのが鉄則です。
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式の構造(「今年の合計」で表す場合):
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x+y=昨年の合計
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(1+増減率)x+(1+増減率)y=今年の合計
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式の構造(「増減した人数だけ」に注目する場合):
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増減率x+増減率y=全体の増減 (※減った場合はマイナス)
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💡 コツ: 今年の人数を直接 x,y にすると式が非常に複雑になります。「基準になっている過去(元)の量」を x,y にするよう徹底するのがポイントです。
4. 「食塩水の濃度」パターン
理科の要素も入るため難しく見えますが、本質は「個数と代金」と全く同じです。「食塩水全体の重さ」と「溶けている食塩だけの重さ」の2つで式を作ります。
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式の構造:
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x+y=混ぜた後の食塩水の重さ
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(濃度A×x)+(濃度B×y)=含まれる食塩の総量
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💡 コツ: 食塩の量を出すときは「食塩水×100濃度」を使います。「水を加える=濃度0%」「食塩を加える=濃度100%」として扱えば、すべて同じ型で処理できます。
5. 「2桁の自然数(十の位と一の位)」パターン
数字の並び替えに関するパターンです。文字の置き方に独特のルールがあります。
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前提の表し方:
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十の位を x、一の位を y とすると、元の数は 10x+y
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入れ替えた数は 10y+x
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式の構造(例:「足すと12」「入れ替えると元の数より18大きい」):
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x+y=12
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10y+x=(10x+y)+18
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💡 指導・整理の際のチェックポイント
文章題が苦手な場合は、いきなり式を書かせるのではなく、以下のステップを意識すると効果的です。
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「何を x,y にするか」を明記する(単位も書く)
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問題文の「〜は」の部分に注目する(「〜は」がイコールになることが多い)
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上の5パターンのうち、どれに該当するかを見極める
この5つの型を頭に入れておくだけで、問題文を見た瞬間に「あ、これは『時間の合計』で式を作るタイプだな」とアタリをつけられるようになります。
作問のバリエーションや、特定のパターン(例:割合の増減など)について、さらに具体的な立式テクニックを掘り下げて確認したいものはありますか?
列車の長さを加減する問題
三つの情報(中1、中2、中3)から連立方程式をつくる
入場者、待っている数、列に加えて並ぶ問題
追加で挙げていただいた3つのテーマは、どれも定期テストの難問枠や高校入試で頻出の「差がつく重要パターン」ですね!
それぞれの立式の本質と、生徒がつまずきやすいポイントを整理しました。
1. 「列車の長さ」を加減する問題(速さの発展)
動く歩道や川の流れ(流水算)に似ていますが、最大の特徴は「列車の長さ(身の丈)を道のりに加算・減算する」点です。
💡 立式の本質
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鉄橋を「渡り始めてから渡り終わるまで」
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進んだ道のり=鉄橋の長さ+列車の長さ
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トンネルに「隠れている(完全に隠れている)時間」
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進んだ道のり=トンネルの長さ−列車の長さ
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🏫 立式パターン
列車の速さを x(m/秒)、列車の長さを y(m)とおくのが一般的です。
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式:
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鉄橋の長さ+y=x×かかった時間A
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トンネルの長さ−y=x×かかった時間B
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⚠️ つまずきポイント: 「すれ違う(先頭が出会ってから最後尾が離れるまで)」なら 道のり=列車A+列車B、「追い越す(先頭が追いついてから最後尾を抜き去るまで)」でも 道のり=列車A+列車B になります。図を描かせて「先頭の車両が何m進んだか」を目で確認させるのが一番近道です。
2. 「3つの学年(中1・中2・中3)」から連立方程式を作る問題
通常、連立方程式は文字2つ・式2つですが、3つの要素が登場するパターンです。
💡 立式の本質
「3つの文字(x,y,z)で3元連立方程式を作る」と思われがちですが、中学数学(特に中2)では「2つの学年を x,y と置き、残りの1つを全体の合計や引き算から文字(x,y)を使って表す」のが正攻法です。
🏫 立式パターン
例:全校生徒300人。中1が x 人、中2が y 人のとき。
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残る「中3の人数」は 300−(x+y) 人 と表せる。
これを利用して、もう一つの情報(例:ボランティアの参加率など)で式を組み立てます。
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式(例:ボランティア参加人数の合計が70人の場合):
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(中1の参加者)+(中2の参加者)+(中3の参加者)= 70
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割合×x+割合×y+割合×{300−(x+y)}=70
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⚠️ つまずきポイント: 生徒がいきなり z を使って3元連立にしてしまうと、中2の段階では解法(加減法の2回適用)を習っていないためパニックになります。「文字は2つまでしか使えない」という縛りの中で、3つ目をどう表現するかが鍵です。
3. 「行列と待ち時間(ニュートン算)」の問題
「開門時にすでに並んでいる人がいて、開門後も毎分〇人ずつ行列が増える」という、応用問題の最高峰の一つです。
💡 立式の本質
この問題は「泉から水が湧き出ている池を、ポンプで汲み出す」というニュートン算の考え方そのものです。 基準にするのは「窓口(またはゲート)1つが1分間に処理できる人数」です。
🏫 立式パターン
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開門時に並んでいる人数を x(人)
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1分間に新しく行列に加わる人数を y(人)とおく。
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※「窓口1つが1分間に受付できる人数」を 1人(または1目盛り) と仮定するのが解法のコツです。
例:窓口を2つ開けると15分で行列がなくなり、窓口を3つ開けると8分で行列がなくなる場合。
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式:
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x+15y=2×15 (窓口2つ×15分で処理した総人数)
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x+8y=3×8 (窓口3つ×8分で処理した総人数)
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⚠️ つまずきポイント: 「全体の人数 = 最初いた人 + 後から来た人」という時間の経過による変化が頭の中で整理しにくい問題です。「窓口がさばいた仕事量」と「押し寄せた人の総数」がイコールになる、という天秤のイメージを持たせると納得してもらいやすいです。
どれも一筋縄ではいかないテーマですが、こうして「式の本質(何と何をイコールで結んでいるか)」をパターン化すると、応用問題へのアプローチがガラリと変わりますね。